症状:Privacy Modeを有効にしたまま、顧客の本番キーやデータベース構造をCloud Agentへ渡してしまい、監査でデータ経路を説明できない。
最短解法:すべての顧客コードを許可も停止もしないでください。低リスク案件は設定と契約を確認して継続し、高敏度案件はCloud Agentsを除外し、顧客承認済みの隔離ローカル推論または独立したリモートMacへ移します。
誰のための判定か
個人開発者は、自分のアカウント設定とエディター設定が顧客契約に適合するかを確認できます。外注チームの責任者は、案件ごとの共通ルールを作れます。
安全審査や納品確認を担当する人は、口頭説明ではなく、設定画面、モデル名、クライアント版、確認日を含む再検証可能な証跡を集めてください。
最終判断はCursor全体ではなく、「案件 × 使用機能 × 選択モデル」の組み合わせで出します。Cursorは2026年8月14日にSpaceXへの統合を公式発表し、Grok 4.6がCursorに入ったことも確認されています。発表内容はCursorの公式告知とSpaceXAIのGrok 4.6発表で確認できます。
まず分けるべき4つのデータ経路
「訓練に使われない」と「どこにも保存されない」は同じ意味ではありません。さらに、API keyを自分で入力したからといって、Cursorのバックエンドを完全に経由しないとも限りません。
次の4項目を分けて記録します。
- 訓練利用:顧客データをモデル改善や訓練に利用するか。
- リクエスト保持:プロンプト、コード断片、応答を一定期間保存するか。
- バックエンド経路:入力がCursorのサーバー、リスク分類器、モデル提供元のどこを通るか。
- 実行環境の複製:Cloud Agentsがリポジトリ、環境変数、作業結果をどこに作るか。
CursorのData Useとプライバシー概要では、Privacy Modeを有効にした場合のデータ利用について説明されています。ただし、モデルごとの例外や保存条件は、利用時点の設定画面と公式ポリシーを優先してください。標準モードの会話が必ずGrokの訓練へ入るという話は、現時点では第三者の主張です。DEV.toの開発者向け論点整理も、事実確認ではなく懸念の把握に使います。
公開コードと私有コードで承認範囲を分ける
低リスク:公開リポジトリ・デモ案件
オープンソース、公開ドキュメント、実データを含まないデモなら、顧客秘密の露出範囲は比較的小さくなります。ただし、未公開のロードマップ、顧客名、内部URL、仮のように見える本番設定が会話へ混ざると判定は変わります。
使える範囲
- 公開コードの補完とリファクタリング
- 架空データを使う画面実装
- 公開仕様に基づくテストコード作成
禁止項目
- 実在するAPI keyの入力
- 顧客の未公開仕様を同じ会話へ貼り付けること
- Privacy Modeやモデル状態を確認しないままの承認
放行結論
Privacy Mode、選択モデルの保持表示、クライアント版、確認日を記録できるなら、限定機能で継続利用できます。
中リスク:一般的な顧客の私有リポジトリ
私有リポジトリでは、技術設定より先に契約を見ます。第三者処理、国外移転、外部モデル提供元への送信、削除要求への対応が制限されていないか確認してください。
CursorのPrivacyとSecurity資料にある公式の説明と、顧客契約の文言を並べます。顧客が明確に許可していない場合は、最小限のコード片、マスキング済みの変数名、隔離した作業ブランチだけを使います。
| 確認対象 | 継続利用に必要な確認 | 未確認の場合 |
|---|---|---|
| Privacy Mode | 有効状態を画面で確認 | 顧客コードを送らない |
| モデル | モデル名と保持表示を記録 | 許可済みモデルへ限定 |
| 契約 | 第三者処理・国外移転を確認 | 顧客へ承認を依頼 |
| API key | 経路をCursor公式資料で確認 | 直結とみなさない |
| リポジトリ | 秘密情報の混入を点検 | 分離ブランチを使用 |
高リスク:秘密情報・規制対象データ
中核アルゴリズム、未公開の脆弱性、実運用の秘密鍵、個人情報、医療・金融などの規制対象データは、クラウドAIへ入れないことを初期値にします。
.cursorignore、リポジトリの除外設定、文字列のマスキングは有効な補助策です。しかし、アクセス制御、ネットワーク境界、端末管理、監査ログの代替ではありません。環境変数のスナップショットやプロンプト履歴に、実際の秘密鍵を書かないでください。
| 案件タイプ | 許可候補 | 明確な禁止項目 | 必要な証跡 |
|---|---|---|---|
| 公開コード | 通常の補完、説明、テスト | 未公開資料の混入 | 設定、モデル、確認日 |
| 顧客私有コード | 最小範囲の補完、脱敏済み相談 | 無承認の全体索引 | 契約確認、送信範囲 |
| 高敏度コード | 承認済み隔離環境 | Cloud Agents、実鍵、実データ | 分離構成、権限、ログ |
| 規制対象データ | 顧客指定の処理環境のみ | 外部モデルへの投入 | 顧客承認、削除手順 |
Cloud Agentsは通常の補完と別に審査する
Cursor Cloud Agentsは、エディターの前面でコード片を処理する機能と同じ扱いにできません。公式ドキュメントでは、エージェントがリポジトリをクローンし、隔離された仮想マシンで作業する仕組みが説明されています。Cloud Agentsの公式仕様を確認し、さらにセキュリティとネットワークの説明も参照してください。
審査では、次を一項目ずつ確認します。
- 接続するリポジトリを専用の承認済みリポジトリに限定します。
- クローンされるブランチと、取得される履歴の範囲を確認します。
- 環境スナップショットに秘密鍵や個人情報が入らないようにします。
- Secretsの登録者、利用範囲、削除担当を記録します。
- ネットワーク出口と外部サービスへの接続可否を確認します。
- 会話記録、作業成果物、仮想マシンの削除方法を確認します。
- 実行後にリポジトリ、ログ、環境データが残っていないか検査します。
顧客規程が「クラウド上にコードを保存しない」と定めている場合、Privacy Modeが有効でもCloud Agentsは承認しません。機能の便利さではなく、コードと環境の複製を許せるかで判断します。
| データ経路 | 通常の確認ポイント | Cloud Agentsで追加する項目 |
|---|---|---|
| 入力内容 | コード片、プロンプト、添付情報 | リポジトリ全体と履歴 |
| 認証情報 | API keyの扱いと送信先 | Secretsと環境変数 |
| 保存 | 会話・応答の保持条件 | VM、スナップショット、成果物 |
| 通信 | バックエンドとモデル提供元 | ネットワーク出口 |
| 削除 | 利用者側の削除操作 | 実行後の複製物とログ |
現場で使う承認条件
第一段階:案件の機密度を決める
案件を「公開・低リスク」「顧客私有」「高敏度・規制対象」の3段階に分類します。迷ったら上位の機密度へ寄せます。分類理由と、扱うデータの具体例を短く残してください。
第二段階:顧客契約を照合する
第三者処理、国外移転、外部モデル、保持期間、削除要求、再委託の項目を確認します。これは法律判断ではなく、技術的な放行条件を抽出する作業です。
第三段階:設定とモデルを固定する
Privacy Modeの状態を確認し、モデル名、アカウント種別、クライアント版、確認日時を記録します。CursorのAPI keyに関する公式説明で経路を確認できない部分は、「直結」と記録しないでください。任意のローカルモデルをCursorで直接置き換えられると解釈するのも避けます。
第四段階:送信範囲を試験する
実データではなく、無害化した短いコード片で一度実行します。送信ログ、選択モデル、応答、会話履歴、索引対象を確認し、承認範囲を超えるデータが含まれていないか調べます。
第五段階:Cloud Agentsを別判定する
通常の補完を許可しても、Cloud Agentsまで許可したことにはしません。リポジトリのクローン、Secrets、ネットワーク、削除方法を確認できない場合は、Cloud Agentsを無効にした状態で運用します。
第六段階:承認記録を保存する
次の項目を一つの記録にまとめます。
- 案件名と機密度
- 顧客契約の確認者
- 許可する機能と禁止する機能
- アカウント種別
- Privacy Modeの状態
- モデル名とモデル表示
- クライアント版
- 送信範囲の検証結果
- Cloud Agentsの可否
- 顧客承認の記録
- 次回の再確認日
設定変更、モデル追加、Privacy Modeの文言変更、Cloud Agentsの保持条件変更があれば、同じ承認記録を再利用せず、再審査します。
条件分岐で「継続・制限・移行」を決める
- 顧客が第三者処理を許可し、Privacy Modeとモデル保持条件を証明でき、コードが低リスクなら、継続利用を選びます。
- 顧客契約は許可しているが、モデル例外や送信範囲を説明できないなら、機能を補完と最小コード片に制限します。Cloud Agentsは止めます。
- 実運用の秘密鍵、個人情報、規制対象データを含むなら、クラウド機能を使わず隔離環境へ移します。
- 顧客承認が取れない、または削除と保存の経路を証明できないなら、開発効率を例外理由にせず移行評価へ進みます。
隔離環境でローカル推論を採用する場合も、Cursorが任意のローカルエンドポイントを公式に同一条件で扱うとは限りません。顧客承認済みのローカルモデル環境、または独立したリモートMac上で、推論サービス、アクセス権、ログ、データ削除を別途設計してください。
MacHTMLのコンソールで利用環境を確認する場合も、案件の秘密情報を管理画面へ貼り付けるのではなく、利用者権限と接続方式の確認に限定します。隔離環境の運用手順を確認する場合は、MacHTMLのヘルプも参照できます。
よくある判定ミス
Privacy Modeをオンにした画面だけを保存し、モデル名や確認日を残さない運用は不十分です。設定は変更されるため、後から同じ状態を再現できません。
API key方式も、プライバシーの直結経路を意味しません。キーの発行元、リクエストのルーティング、ログの保持主体を別々に確認します。キーを使ったことで顧客契約の第三者処理条件を回避できるわけではありません。
「.cursorignoreを入れたから安全」という説明も危険です。除外漏れ、会話への手動貼り付け、環境変数、エージェントのクローン範囲が残ります。特にCloud Agentsでは、通常のファイル補完より広い作業環境を対象にします。
Last updated:2026年8月22日。Cursorの統合発表、Data Use、Privacy & Security、Cloud Agents資料、Grok 4.6公式発表を照合しています。Privacy Modeの文言、モデル表示、Cloud Agentsのデータ周期が更新された場合は、24時間以内に再確認してください。
クラウドAIを使い続ける現在の方法は、補完速度を得られる一方で、顧客ごとの契約確認、モデル例外の確認、バックエンド経路の説明、Cloud Agentsの複製管理という負担が残ります。高敏度案件を通常の開発端末へ集約すると、秘密鍵の混入や監査証跡の不足も起きやすくなります。
顧客コードをクラウドへ出せない案件では、顧客承認済みのローカル推論を独立したMac環境に置くほうが、アクセス権、作業場所、削除手順を説明しやすい場合があります。短期の検証や一時的な開発環境が必要なら、MacHTMLのレンタル環境を候補に加え、案件の分離条件と必要な証跡を先に確認してください。長期の安定した高負荷運用や物理インターフェースが必須の案件では、自社保有環境のほうが適する場合もあります。
顧客コードを扱う開発環境をMacHTMLで整えませんか
MacHTMLのリモートMacなら、顧客案件ごとに分けた検証・開発環境を用意しやすくなります。 手元の端末にコードを集めず、必要なMac環境へリモート接続して作業を進められます。 開発要件に応じて利用期間や構成を選び、承認済みプロジェクトの作業環境を柔軟に整えられます。 顧客コードの取り扱い方針を確認したうえで、MacHTMLを安全性と運用性を両立する選択肢としてご検討ください。